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上顎拡大は悪でしょうか?
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上顎拡大は悪でしょうか?

こんにちは!

広島市佐伯区の歯医者 あい歯科・こども矯正歯科クリニック

院長の田中です。

今回は「上顎拡大」についてお話しします。

ちょうど先日LINE矯正相談で来ていた内容です。

その方は「拡大することに抵抗がある」と書かれていました。

その気持ちよくわかります。

だから今回はその方へのご説明も兼ねて、「上顎拡大」について書いてみたいと思います。是非とも正しく理解していただけたら幸いです。またこれは拡大に携わっている臨床家も認識していなければならないことです。

まず、臨床家の中にも歯が並ぶスペースを増やすためだけに拡大するものと勘違いされている方もいます。

①歯が並ぶスペースの問題の多くは前後的な顎の成長の問題です。

②左右的な狭さのために前歯が入らないのは頬筋による圧迫が原因です。

そしてこの両面に対して効果的に働くのが「上顎拡大」という処置です。

そしてもう一つ大切なことは咽頭を広げることにあります。

これは現・徳島大学歯学部小児歯科分野教授の岩崎智憲先生の論文により証明されています。https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspd/54/1/54_1/_pdf/-char/ja

さて、上顎拡大には拡大スピードによって「急速拡大」「緩徐拡大」に分けられます。ここにはそれぞれの主義主張がありますので、どちらが正しいかなどと無粋な議論は致しませんが、私のクリニックでは「緩徐拡大」を選択しています。

その理由は・・・

緩徐拡大では主に正中口蓋縫合の縫合を割って広げることよりも、縫合部に対して「牽引力」を働かせることに目的があると考えるからです。

人間の頭にはたくさんの「縫合部」があります。皆さんも頭蓋骨が継ぎ接ぎになっていることは想像できると思います。

この「縫合部」での骨の成長は脳や筋肉などの「軟組織」の成長により発生する「牽引力」が発端となります。

そして一つの縫合部にかかる牽引力により、それを取り囲むすべての骨が成長を始めます。なぜならあらゆる縫合部はお互いの関わり合いを断つことなく成長しなければならないからです。

簡単に申し上げると、顔の成長はバランスされた比率を守りながら相似形に成長するものだということです。

つまり「ゆっくり牽引力をかけることで縫合部での骨成長を促す」ことを目的にしています。

私たちは可能な限り「自然成長」に近づけたいと考えて子ども矯正に取り組んでいるので、緩徐型を選択しています。

これに対して「急速拡大」は「正中口蓋縫合」を引き離す拡大法です。さなざまな論文でも「急速拡大」の効果は証明されている方法であり、ここは臨床家によって意見が分かれるところですが、先ほども書いたようにどちらが正しいかを議論することには意味はありません。

「緩徐拡大」に話を戻します。

私のクリニックでは拡大は「足りない部分を補う」程度にしか行いません。

年齢的条件が行きすぎていなければ、マイオブレイスを正しく使用し鼻呼吸をすれば顔の成長が正常化されていきますので、顎の拡大は自然に起こります。

でも足りない場合に拡大を行います。だから拡大自体は長くて2ヶ月程度です。

そんな期間で大丈夫なのかと不安になるかもしれませんが、骨の成長を阻害する表情筋の過緊張がなければ、自然成長していきます。

皆さんは子どもたちの成長変化を過小評価しすぎています。

ちゃんと眠れて十分に成長ホルモンが分泌されていると毎日変化しています。

マイオブレイスが凄いと思うのは、顔の成長の正常化を起こせることだと思います。

そして顔の成長が正常化されてくると、上顎骨の前方成長、頬骨の後方移動、眼窩の成長(拡大)が起こってきますので、顔が立体的な成長(水平成長)を始めます。これが美男美女になるよ、という意味です。私はこれが遺伝的にプログラムされていた「本来の顔立ち」だと考えています。

顔の成長は「下前方」方向へ起こることが正しいのですが、「口呼吸」のお子さんでは「後下方」へ向かって回転成長していきます。

このことが咽頭を狭くし呼吸睡眠を悪くするわけですから、急速拡大までしなくても顔の成長が「下前方」へ改善されたら、咽頭は広く成長を改善していくと考えます。実際多くのお子さんでは「いびきの改善」が起こります。

話が難しくなりましたかね。。。。

結論を申し上げます。

『少なくとも、私のクリニックで行う「緩徐拡大」は横に広げて歯が並ぶスペースを作るためだけにやっているわけではありません。口呼吸のために不足した上顎の成長に対して「縫合部への牽引力」というシグナルを送ることで上顎骨全体が正常な状態に拡大することを促すことを目的に行なっています。この時、前方牽引も同時に行いますが、これは顔の成長が本来前に向かって起こらなければならないのに、口呼吸では舌によるサポートがないために前方向の成長が不足しており、これを補助するためです。上顎が前に出ていくことで、上顎の後方部に骨が足されていきます。つまり歯が並ぶスペースが確保されるのです。また、前方への成長が起こるとき、中頭蓋窩の成長が起こります。中頭蓋窩と咽頭の広さは対応している部分なので、咽頭の拡大が起こります。これで子どもたちはグッスリ眠ることができるようになるはずです。』

ちなみに実際の臨床の場で私はもっと沢山のことを子どもごとに思考しながら指導にあたっています。だから矯正日の夜は疲れて寝落ちしてしまいます。

MRC矯正は「はめとけば治る」ほど単純な矯正ではありません。これはこれからMRC矯正を始めようとしている臨床家に向けてのメッセージでもあります。

私の話は長く難しいでしょうか。。。。?💧

でもとても大切な話です。

子どもの成長に疑問を感じていたり、眠れていないなとか口ポカンだということに気づいた方はどうぞ矯正相談に来てくださいね。

一緒に子どもの成長を支えましょう!

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医療法人爽風会

あい歯科・こども矯正歯科クリニック

広島県広島市佐伯区五日市5丁目6−26

ゆめタウン五日市店別館2階

院長 田中宏尚

 

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