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口呼吸と睡眠
こんにちは!
広島市佐伯区の歯医者あい歯科・こども矯正歯科クリニック
院長の田中です
今回は口呼吸と睡眠についての研究をご紹介します
ちなみに今回の参考論文は
https://link.springer.com/article/10.1007/s11325-015-1154-6
になります
この実験の中では太っていない他の症候を伴わないアデノイド肥大がある患児に対してアデノイド摘出術を行ったあとMFTという筋機能療法を真面目に取り組んだグループと(面倒臭くて)途中離脱したグループでは睡眠障害の再発生に明らかに差があったと書かれています。
アデノイド摘出後、調査した64人の患児は全て睡眠の改善が認められたのでっすが、MFT治療に全員参加させたものの、ほとんどの患児は途中で離脱したらしく、最後まで真面目に取り組んだ9人に関しては全ての患児で睡眠の改善が認められましたが、他は以前よりも悪化したそうです。
この結果からわかるのは、アデノイドの肥大により上気道に閉塞が起こり口呼吸が習慣化してしまうのですが、外科的に閉塞物を排除したら、一時的に上気道の抵抗がなくなり睡眠が改善するのですが、口呼吸が習慣化した子ども(大人も含む)は誤った筋肉の使い方が習慣化しており、その習慣を断ち切り、正しい口唇閉鎖や嚥下、呼吸の仕方についての再学習を徹底しなければ、悪しき習慣が残存し、結局アデノイドによる影響以上に悪い結果をもたらすということです。
口呼吸をしていることで顔の形に変化が現れることはギルミノー先生の論文や他の論文でも書かれています。たとえば、高口蓋・狭口蓋・ロングフェイス・下顎の急な角度(下顎後退)などです。これらはすでに私のブログでも何度も触れている顔立ちですが、全ては咽頭の閉塞につながります。つまり顔面と咽頭との距離が短い顔立ちです。
左は昭和大学病院のHPに掲載されている睡眠時無呼吸の方のセファロレントゲンです。右は顔の成長が良い方のものです。
比較すれば左の無呼吸の方のレントゲンでは下顎の急傾斜や顔面が前に成長していないことが良くわかると思います。
これらの問題は舌による口蓋のサポートが無いこと、(つまりこれが「口呼吸」なのです)によって引き起こされます。
口呼吸をしていると舌により口蓋がサポートを受けられないので、上顎はClodkwise Rotationという時計回転をするように後方に(咽頭方向へ)落ち込む成長をしていきます。このことが、下顎の急傾斜を生み、前に出ていけない顔の成長につながります。
顔が前に出ないことはさらに悪い変化を生み出します。
顔が前に出ていく成長をすることで顎の奥に歯が並ぶスペースが作られていきます。つまり顎の骨が大きくなるということです。
最近第二大臼歯が埋もれたまま成人になる患者さんが増えてきました。
これまでは親知らずが埋伏する人は多くいましたが、最近はその手前の大臼歯が埋もれてしまう子が増えてきたのです。
原因はやはり顔が前方向に成長していかずに顎が大きく成長できていないからです。
こういうお子さんでは、歯が並ぶスペースが小さいので当然歯並びがガタガタになっています。
つまり歯並びがガタガタしている様子がお子さんに見られたら、それは見かけの問題だけではなく、顔が前方向に成長していない。。。言い方を変えるなら「咽頭が狭いままだ」ということがわかるのです。
数々の論文がこの事を証明してきていますが、残念ながら日本ではこういう世界を見る気がない臨床家や親御さんが多数です。
私は子どもたちの健やかな成長を応援したいので、こども矯正にはMRC矯正に取り組んでいます。私もワイヤー矯正も勉強しているし、成人にはインビザライン矯正で対応しています。
なぜ、子どもにこのようなメカニカルな手段の矯正を取り入れないかというと、子どもの歯並びは顔の成長を伴いながら、可能な限り自然成長的に改善することが理想だと考えるからです。
ワイヤーもインビザラインもドクターサイドが考えた歯列を目標にゴールが設定されます。でもこれは個人の口腔周囲組織が選んだ形ではありません。
「後戻り」という事を聞いたことがありますか?
矯正後に歯列が悪化することです。
歯列や骨の位置関係は筋肉などの軟組織が決めるものです。
骨には自らの力で形態や大きさを決定する力はありません。
軟組織の成長が直接的に骨や歯列を形作るのです。
子どもには「成長する力」がありますので、成長を阻害する要素を排除してやれば自分の力で改善してくれます。
このようにして改善した歯並びや顔の成長は、その子の軟組織が形作っているものなので壊れにくいです。
つまり身体にフィットしているということです。
MRC矯正の優れたポイントは歯並びより顔の成長にフォーカスしていることです。
もちろん、部活などが始まれば口呼吸になってしまうリスクがあり、放置すれば再び間違えた筋肉の使い方になり、「後戻り」する可能性は高まります。
でも、鼻呼吸に戻すトレーニングができていれば再び改善することもできるのです。
どうぞお気軽にご相談ください。
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院長 田中宏尚
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