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睡眠呼吸障害(SDB)と口呼吸についての論文紹介
こんにちは!
広島市佐伯区の歯医者
あい歯科・こども矯正歯科クリニック
院長の田中です。
今回紹介する論文は睡眠呼吸障害と顔の形の関係についてのものです。
https://jcsm.aasm.org/doi/full/10.5664/jcsm.27657#google_vignette
こちらにこの論文へのリンクを貼り付けておきます。
序章の中で鼻呼吸が頭蓋顔面の正しい成長と、咀嚼や嚥下などの他の機能との相互作用の適切な発達につながることが書かれています。
私のクリニックでもお伝えしていおりますが、鼻呼吸することが正しい機能を起こし、その機能により成長する筋肉や気道などの「軟組織」が顔の成長を左右します。
また、口呼吸は、不正咬合、顔面前方及び下方の高さの増加(ロングフェイスと下顎の傾斜が強くなる)、口蓋の狭小化及び深化、開咬または交叉咬合の発症傾向など、頭蓋顔面の異常発達の原因となることも書かれております。
口呼吸では本来機能させる筋肉とは別の筋肉を動員して機能を行います。例えば嚥下時に頬筋を使ったりすることです。この結果、正常ではない筋肉の発達が起こり、その影響で骨格や歯並びが作られてしまいます。
この形態の異常は「見た目」よりも重大な体への影響を及ぼします。
これが「咽頭の狭窄」です。
データにおいても口呼吸では下顎が「後退」しており下顎平面が急になっていることが示され、口呼吸グループは鼻呼吸グループよりも気道スペースが小さいことが明記されております。
これは口呼吸において特徴的なクロックワイズローテーションと呼ばれる顔面の後方回転成長の結果だと思います。
このような結果は睡眠に影響を及ぼします。
左から酸素飽和度が92%より低下する子の割合は口呼吸(赤)が多く、
真ん中は無呼吸低呼吸指数(AHI)ですが、口呼吸で優位に大きくなり、
右はイビキですが、やはり口呼吸でいびきをかく割合が優位に大きくなることがデータで示されました。
咽頭気道径が1mm減少するとイビキをかく率は1.61倍に増加したそうです。
頭蓋顔面骨格は12歳で90%まで完成率が達しており、上顎は8歳で成長のピークを迎えることがわかっています。
確かに下顎の成長は中学生の頃にも起こりますが12歳児でほぼ完成していることを考えたら、その時点での顔面骨格が成人の顔面骨格を反映することは明らかです。
議論(Discussion)の中で、「いびきとOSAS(睡眠時無呼吸症候群)は口呼吸によって引き起こされる形態学的変化と密接に関連しています」と述べられています。
以上のことを考えてみましても、子ども矯正については単なる審美の問題としてではなく、睡眠呼吸障害との関連で考える必要があり、年齢的には6歳から8歳という上顎の成長に合わせたタイミングで始めることが最も理想的であるように考えます。
口呼吸により異常成長を遂げた顔立ちや顎の大きさでは歯並びがガタガタになることはエンローの「顔面成長発育の基礎」をちゃんと理解すれば明らかですので、子どもを扱う矯正医は今一度呼吸睡眠との関連について調べる必要があると思います。
この点、私が取り組むMRC矯正は「顔の成長にフォーカス」する矯正法であり、私が考える理想でもあります。
ただ、多くのMRC矯正に携わる歯科医も実は習熟度が足りていない場合もあり、より深くより広範囲に及ぶ学習は必然と考えられます。
かくいう私も人生半ばのひよっこですので、これからも探究心を忘れずに、子どもが健康に生きていくためのお手伝いができるように精進してまいります。
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院長 田中宏尚
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